2009年12月01日00時49分25秒
これ読む奴いるのか?
船釣り.jpにおける釣果情報のネット上からの収集、表示、利用について
(1)著作権侵害にあたるか?
(2)不法行為(民法709条)にあたるか?(新テーマ)
この2点の検討の結果です。
結論から言うと
(1)釣果情報は著作物にあたらない。
【後日追記】釣果サイトの釣果データベースや釣果サイト自体が著作物ではないといっている訳ではないです。創作性のある表示をされている釣果サイトもあります。後の文を参照ください。
(2)不法行為の要件を満たしている可能性があるので修正する。
です。
■背景として、
「船釣り.jp」は、船釣りの釣果が船宿HPや、数ある釣果サイトに分散していて釣り人にとって調べるのが面倒である点を、なんとか改善しようという視点からはじめた、ただの釣り人の個人サイトです。ネット上に無償で公開されている釣果データを、複数の釣果サイトから自動収集し、魚種別に釣果を分析し、釣り人がいつどこ(船宿)で、何(魚種)を釣るべきかを考えるために便利な情報をリアルタイムに生成、提供してきました。釣果情報(日付、地域、港、船宿名、魚種、大きさ、釣果)は、単なる事実を示した情報である事から、著作権法で保護している表現の創作性はみられないため、著作物ではないと判断しての開始でしたが、管理人ブログへの匿名のコメントという形で権利侵害を主張があったため、釣果情報を集めた全釣果サイトへ、ご意見を伺うメールを送りました。その後、著作権侵害を主張されるメールにて抗議が一通ありました。
■匿名のコメントの主張
1)釣果データを不正収集しており、証拠もある。
2)多大なる費用をかけている釣果データを、このような形で利用することは、権利侵害で、営業妨害である
■抗議メールの主張
1)釣果情報の収集には多大の費用をかけている。釣果情報を有料で販売しビジネスをしている。なので、無断、無料で利用していれば著作権法違反である。
2)刑事事件として告訴し警察がパソコン押収、損害賠償の民事訴訟を起こす。盗用が実証できれば即刑事処分(懲役刑)、民事裁判で 損害賠償である。
3)営利目的かは関係なくコンテンツの盗用で法の裁きを受ける。
4)元のデータを加工していても盗用なので著作権法違反である。
5)弊社は同様な案件に関し3件告訴し、勝訴している。
当初、抗議メールで主張されている著作権の侵害と既に3件勝訴しているという事から、司法の判断が下っている可能性があるということで、釣果データの表示の停止とともに、著作権侵害についての調査をしました。しかし、法律の理解、複数の専門家のアドバイス、判例などを調べた所、匿名でいただいたコメントの主張の方も考察しています
■著作権侵害にあたるか?
著作権法第2条において著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と規定されています。これだけで、すでに釣果データは本質的に著作物ではないと理解できます。著作権法では創作性のある表現を保護するが、アイデアや情報自体は保護しない。船釣り.jpで利用している釣果データは、日付、地域、港、船宿名、魚種、大きさ、釣果ですから、事実を示しただけの情報です。どの釣果サイトにも見られる共通の昔からある情報のみを利用し、コメント欄などにある文章などは参照してません。ポイントや水深、潮色なども共通項目ではあるのですが、サイトによって掲載していない所もあるためあえて除外しています。
しかし、著作権法では編集著作物(リスト等)やデータベースの概念があります。情報を集めた集合体であるリストやデータベースにおいて、個々の構成要素ではなく、素材の選択、配列や体系的な構成に創作性を有する場合、選択や配列・構成の仕方を保護対象にしています。なので、便利で独創的な並べ方をした表を作成すると、データ自体はただの事実でも、そのまま表をコピーすると著作権の侵害になります。元のデータベースの創作性が再現されていれば侵害となります。ただ、この考え方を適用しても、釣果サイトの釣果データに独自の構成や配列は見られませんし、表をコピーしているわけではなく、情報のみを収集していますから該当しません。
判例をいくつか見てみましたが、情報のみを収集し、独自に他のサイトにはない配置、構成している「船釣り.jp」にこそ著作物としての要件は当てはまります。ですので抗議メールにある著作権侵害にはあたらないというのが結論です。
【後日追記】釣果サイトの釣果表示、データベースが創作性がなく、著作物ではないと言っているわけではないです。独自の工夫をした表示をされているサイトもあります。日付、地域、港、船宿名、魚種、大きさ、釣果は単なる事実であり、創作性ある構成や配置などの創作性がある部分を再現しなければ著作権侵害にはあたらないという事です。
■不法行為(民法709条)にあたるか?
匿名のコメントでも、抗議メールでも両方とも多大な労力をかけて釣果データを収集していることに触れています。今までは、ネットの普及率も低く、電話やFAX,電子メールなどを利用した釣果収集は、労力を必要としたはずです。船宿さんに協力を依頼する営業努力も大変だったと思います。しかし、現在は携帯電話でネットができる時代で、船の上からでも入力可能ですし、パソコン一台あれば収集するシステムは構成できます。船宿さんでの作業も、入力自体が抵抗がなくなってきているので、どんどん省力できる時代だと思います。現在でも釣果収集に多大な労力をかけるのは、経営努力不足の感は否めませんが、ただ、釣果収集に労力が必要な事は確かです。
さらに、釣果データは釣り人に非常に参考になります。前日の釣果を元に釣りにいく地域をきめたり、魚種を決めたりするため、釣果データをサイトで公開することは、サイトへのアクセス向上の効果があり、サイトのアクセスが向上するという事は、広告収入などを得る機会を得られる可能性等があがるので、収集された釣果データに経済的価値があることも確かです。
で、気になる判例が2つありました
一つ目として平成8年(ワ)第10047号 損害賠償等請求事件(中間判決)
これは四輪自動車のデータベースの著作物かどうかを争った裁判の中間報告で、多大な費用をかけて製作したデータベースに構成や体系が以前からあったり、同業他社にもみられるため創作性は認めれず、著作物とは認定していません。ただ、17頁では労力や費用をかけて作成したデータベースで営業活動をしていて、複製を競合地域で販売した行為は、営業妨害として不法行為の要件を満たすというものです。
よく似た判例がもう一つ。平成17年(ネ)第10049号 著作権侵害差止請求控訴事件
これはネット上のニュースの見出しの2次使用に関する著作権裁判ですが、著作物としては見出しは認定されませんでした。ただ、この判決では22頁に、著作権等の厳密な意味での権利侵害でなくても、法的保護に値する利益が違法に侵害されれば不法行為が成立するとされてます。インターネット上の情報は、多大な労力から成り立っている点に触れ、ここでの対象であるニュースの見出しを作成することは、簡潔な表現により、それ自体で事件の概要が理解でき、見出しのみで有料での取引対象となる独立した価値があると認定しています。この情報を、無断で、営利の目的をもって、反復継続して、見出しが作成されて間もない情報の鮮度が高い時期に、特段の労力もなく実質的にデッドコピーして利用したことを不法行為認定の要件にしています。また、見出しを利用したサービスが、元のデータの業務と競合する面があるとこにも言及しています。
この2つの判例の不法行為の共通要件ですが、販売などの営利目的であること、あと複製で実施した業務が複製元と競合することですね。
「船釣り.jp」は完全に非営利目的です。ただ、サーバーのレンタル代ぐらいほしいな~ってアフィリエイト(ブログとかにあるバナーによるサイト誘導)してたので、これが営利目的と見られかねないです。ま~だれもクリックしてくれなかったのですが。
あと、業務が競合するのは完全に適合します。非営利なので業務と言えないともとれます。
この2判例から判断すると、匿名のコメントの営業妨害という主張は、不法行為として損害賠償が成立する可能性があります。逆に抗議メールは刑事と民事をごちゃごちゃに書いてあり、脅し文句は多いんですが、筋が通ってない部分があるように見えます。
これが現在の見解です。
ちなみに不法行為ってのは契約はないけど損害与えた時の損害賠償の話です。交通事故とかの損害賠償が代表例です。法的要件としてはこの4つです
・故意または過失による行為であること
・損害の発生
・行為と損害との間の因果関係の存在
・違法性
■対応としてですが、
著作権については問題ないので対応しません。著作物とは考えられないので複製(コピー)、アップロードについては問題ありません。今後法制化されるダウンロードについても、著作物に関してですので考慮する必要はありません。不正収集という主張はおかしいです。いわば調査です。
不法行為については対応しないとサイトの復活はありえない気がしてます。
1)営利目的ととられかねないアフィリエイトは止めます。もうやめてます。
2)業務?が競合するのは、釣果データをそのまま表示すると避けれないので、釣果があった船宿表示までとし、釣果、サイズについては加工したデータのみを表示します。釣果を統計処理した結果から釣り人が釣果結果を見たければ、釣果サイトか船宿HPへ誘導可能なリンクを張ります。これは完全に釣果サイトの業務とは異なる領域です。釣果を知りたければ、釣果サイトか船宿に飛んでください。釣れた船宿だけの表示であれば、釣果サイトは損害は認定できませんし、逆に釣果サイトのアクセスの向上に繋がるはずです。「船釣り.jp」としては不便になりますが、権利の侵害の恐れがあるなら仕方がありません。
3)2つ目の判例の「無断での利用」という要件除外のため、既に釣果サイトにはお伺いのメールを出していますが、再度釣果サイトへ釣果データ利用の旨を送信します。
4)特段の労力なしの複製(デッドコピー)という要件を除外するために、統計処理データのみ表示します。
5)船宿さんへお伺いメールを出します(既に出した事はありますが2割に達していません)。釣果の情報元は船宿さんなので、利用の是非を問うメールを極力多くの船宿に出し、船宿さん同士でも連絡しあっていただけるようにお願いしてみようかと思います。
6)独自に釣果を集めるシステムを作ります。釣り人の利便性、船宿さんの負担軽減を考えて、より簡単に釣果を収集可能なシステムをチョチョって作りたいと思います。営業活動はむずかしいので、できるだけ自動で。釣果サイトを増やすだけなのでやりたくないんですが、釣果表示はしたいのでやる方向で検討してみます。
要するにデータを利用する(以前からデータの収集は公言してます)けど、儲けてもいないし、妨害もしてませんってことです。あ~面倒だな~
ま~これが規制されるなら、大学生がネットみてレポート書いたらだめだっって言ってるようなものです。
こんな感じで専門家と相談してきますぅうう
あ、あと「船釣り.jp」のコンテンツは著作権を強力に主張しなきゃ!!
参考資料:
・「ネットワークにおける著作権問題等について」
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/chosakuken/main.html
・電子商取引に関する準則改定について「経済産業省」
http://www.meti.go.jp/press/20060201002/20060201002.html
・著作権テキスト「文化庁長官官房著作権課」
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/chosaku_text_090601.pdf
・はいぱーワークブック --- HWB =>21.6 著作権や肖像権
http://hwb.ecc.u-tokyo.ac.jp/current/
・判例検索
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01
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